生理中に美容鍼を受けてもいいの?
2019.04.16

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美容鍼をせっかく受ける予定にしていたものの、ちょうど施術日と生理日が重なりそう‥。ここでは、そんなケースを想定して、生理中に美容鍼を受けても良いのかを説明します。
美容鍼をせっかく受ける予定にしていたものの、ちょうど施術日と生理日が重なりそう……。ここでは、そんなケースを想定して、生理中に美容鍼を受けても良いのかを説明します。
美容鍼で健康的な美しさを手に入れる!
美しさを手に入れるために、世の中にはエステや美容クリニックなどさまざまな方法があります。そのひとつが美容鍼です。美容鍼の「鍼」とはいうまでもなく、「鍼灸」のこと。鍼灸にはあまり馴染みがないかもしれません。ここではまず、美容鍼とは何か、またその効果について説明しましょう。
美容鍼とは?
美容鍼は鍼灸治療を美容に応用したものです。鍼灸治療を含めて東洋医学では、美しさと体の健康はとても関連が深いと考えています。鍼治療によって身体が整えられた結果として肌など、外から見える部分にも変化が見られるのです。
鍼による刺激によって身体が整えられるのはなぜでしょうか?鍼によって刺激が与えられると、鎮静作用を持つモルヒネのような物質が放出されることがわかっています。これが体が感じている腰痛や膝痛などの痛みをブロックするのです。
また刺激が与えられることにより、内臓や自律神経の機能の改善も期待できるとされています。さらに筋肉の緊張が緩められ、血行が促進、疲労物質が流されることで身体の回復につながるのです。鍼による刺激によって自然治癒力が引き出されることで身体が健康になり、結果として美容効果も期待できます。
美容鍼に興味があっても躊躇してしまう1つの理由は「美容鍼は痛い」という漠然とした不安ではないでしょうか?実は美容鍼で使っているのは先の尖った「針」ではありません。先端は丸みを帯びています。また、美容鍼で使われる鍼は主に2種類で、長さ3cmのものと1.5cmのものです。
皮膚の厚さによって使い分けられますが、太さも異なり、3cmのものは0.18mm、1.5cmのものは0.14mmです。いずれにしても注射針は太さ0.7mm〜0.9mmですので、美容鍼はその約3分の1の太さしかありません。これだけ細いため、刺す際にも皮膚の抵抗をほとんど受けないのです。
さらに、皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層になっていますが、美容鍼においてはよほどのことがない限り、皮下組織まで鍼を入れることはありません。皮下組織まではわずか1.4mmに過ぎませんから、大きなダメージを与えることはなく、痛みを感じないという人も多いようです。
美容鍼の効果について
美容鍼には具体的に、どのような美容効果を期待できるのでしょうか。上述したように美容鍼は人間の体が持つ自然治癒力を引き出すことで、体の内側に働きかけます。
むくみやたるみの解消
顔の皮膚がむくんだり、たるんだりしていると顔が大きくみえてしまいます。小顔に見せるためにはむくみやたるみの解消が大切です。むくみもたるみも根本的な原因は筋肉がコリによって硬くなることで、結果として血行が悪くなり、リンパの流れも滞ってしまうことによります。
美容鍼は筋肉にアプローチし、コリの解消をめざすのです。また、表面だけの改善ではないため、美容鍼を続けることで持続的な効果を期待できます。
くすみ、クマの解消
肌のくすみや目の下のクマの原因は、肌のターンオーバーが滞っていることが原因です。結果として角質層が厚くなり、光が表皮で乱反射してしまい、顔全体のイメージが暗くなります。また、目の下は皮膚が薄いため、うっ血した血液が透けてみえます。これがクマの原因です。
美容鍼によって刺激を与えることで、肌は修復しようとしてコラーゲンやセラミドなど、美しい肌を生成するために必要な成分を出そうとします。また、古い角質が取り除かれることで、肌のリズムも整っていくことが期待できるのです。
ホルモンバランスの改善
女性にとってホルモンバランスの乱れは大きな悩みのひとつです。2種類の女性ホルモンであるエストロゲン(卵巣ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)がバランスよく分泌されている状態が理想ですが、ちょっとしたきっかけで乱れてしまいます。
ホルモンバランスの乱れは加齢だけでなく、ストレス、不摂生な生活リズムによっても起こりますが、特にストレスは大敵です。ストレスは女性ホルモンの分泌に大きく影響を与えます。ホルモンの分泌量が変化し、そのサイクルの乱れによって生理不順が引き起こされます。
また、頭痛や不眠症、多汗、さらにはPMS(月経前症候群)、不正出血などの原因もここにあるのです。美容鍼は女性特有の症状もケアしてくれます。
生理中の美容鍼について
予定していた美容鍼の施術が生理中と重なりそうな時、どうすればよいでしょうか?人それぞれの体質や、その時の体調は異なりますが、以下に挙げる点を考慮することをおすすめします。
生理中に美容鍼は受けられる?
生理中はただでさえ体に負担がかかるので、そんなデリケートなときに美容鍼を受けることに対して不安を感じる人もいるでしょう。しかし、上述したように美容鍼は体が持っている自然治癒力を引き出すことで、健康な美しさへ導いてくれるもの。
そのため、生理中でも基本的には問題なく施術を受けていただけます。もっとも体質はそれぞれですし、疾患を抱えている場合は注意が必要です。
また、施術者の技術も関係しています。この点、厚生労働省も「鍼治療は、経験豊富で十分に訓練を受けた施術者が消毒針を使って行う場合、一般的に安全であると考えられています」と述べています。
生理中や生理の前後で肌が荒れるという方は、適切な条件下で施術を受けるなら、むしろ美容鍼によって肌トラブルを解消できる可能性もあります。生理中の肌荒れはホルモンバランスの乱れが主な原因だと考えられるからです。美容鍼はホルモンバランスを整え、生理による肌トラブルをケアしてくれます。
生理痛を解消してくれる場合もある
鍼にはつらい生理痛を解消してくれる場合もあります。そもそも生理とは、妊娠が成立せずに不要になった子宮内膜が血液と一緒に対外に排出されるものです。このとき、女性の体内ではホルモンバランスが乱れています。
痛みを誘発させる物質が出たり子宮が過度に収縮したりすることで、頭痛や腹痛、腰痛など、生理痛の症状が引き起こされるのです。鍼にはホルモンバランスを整え、筋肉の緊張を和らげる作用があるので、生理中に起こるつらい諸症状の緩和が期待できるのです。
施術を受けられないケース
生理中でも美容鍼の施術は基本的に問題なく受けられますが、例外もあります。生理に伴う貧血などの体調不良の際は体を休め、症状が落ちついてから施術を受けてください。また、風邪などの体調不良で特に熱がある場合には、施術後さらに上がってしまう可能性がありますので、控えた方がよいでしょう。
さらに、妊娠初期は体調が安定しないため、HARICCHIでは安定期前の施術はお断りしています。加えて、HARICCHIで使用している鍼はステンレス製です。他の金属と比べてアレルギー症状は出にくいですが、生理中はお肌がデリケートになっています。心配な人は一度専門医に相談するようにしてください。
副作用の可能性
生理中に美容鍼を受けることで副作用の可能性はあるでしょうか?ここでは、生理中に限らず美容鍼と副作用の問題について解説しましょう。
副作用とは「主作用ではない作用」のことです。そのため必ずしも望ましくない作用という意味ではありません。しかし、通常「副作用」というとき、好ましくない作用のこと、つまり「有害反応」のことを思い浮かべます。また、薬の服用における副作用とは全く予期していなかった反応ではなく、薬と因果関係のある作用のことを指します。
鍼治療において「鍼を打つことと因果関係があり、しかも望ましくない結果」は存在するのでしょうか?例えば、美容鍼を受けた結果、倦怠感が出ることがあります。倦怠感を「望ましくない」とみなせば副作用ですが、人によっては「心地よい倦怠感」の場合もあります。
また、痛みを緩和するために鍼治療を行った結果、便秘が解消される場合もあります。こうした反応は副作用ではなく、「副反応」と呼んだほうが適切かもしません。
では、美容鍼によって何か望ましくない反応が生じることはあるのでしょうか?よく「鍼灸治療は東洋医学であるため、副作用はほぼない」といわれることがありますが、東洋医学であっても副作用はありえます。例えば、漢方は東洋医学の1つであり、作用が穏やかであることから、副作用がないと勘違いされることがあります。
しかしながら薬である以上副作用はありますし、独特の使い方を間違えば病気を悪化させるリスクもあるのです。「東洋医学=副作用がない」と安易に考えるのは危険です。
美容鍼であっても同じであると考えています。例えば、森ノ宮医療大学鍼灸情報センターが2014年に4カ月にわたって391名に対し施術した1,441回の治療について次のような結果が報告されています。以下は全身性の副作用です。
・疲労感・倦怠感(8.2%)
・眠気(2.8%)
・主訴の悪化(2.8%)
・刺鍼部掻痒感(1.0%)
・めまい・ふらつき(0.8%)
・気分不良・吐気(0.8%)
・頭痛(0.5%)
また、局部性の副作用に関しては以下の通りです。
・微量の出血(2.6%)
・刺鍼時痛(0.7%)
・皮下出血(0.3%)
・施術後の刺鍼部痛(0.1%)
・皮下血腫(0.1%)
・置鍼中の疼痛・不快感(0.03%)
上記調査から「疲労感・倦怠感」を感じた人が他の副作用に比べると圧倒的に多い点に注目できるでしょう。ただ、上でも述べたように「疲労感・倦怠感」は心地よさを伴うこともあります。実際、鍼治療によって血行が良くなることで、体に蓄積してきた老廃物が体中を回るようになったことが理由だと考えられます。
そのため、老廃物が体外へ排出されれば、むしろ体は軽くなることが期待できます。もし、倦怠感を感じたら、水分をしっかりとって安静に過ごすようにしましょう。上記の調査は鍼治療全般に関するものですが、HARICCHIでも独自に美容鍼の副作用に関して調査(2022年6月実施)を行ないました。以下の通りです。
Q:美容鍼経験者へお伺いします。美容鍼の施術後、副作用がありましたか?
・はい:10%
・いいえ:90%
約10人に1人が副作用を経験したことが分かります。上述の調査と比較すると、その割合は多いように感じます。HARICCHIの調査は先に挙げた調査結果と比べ、サンプルが少ないためかもしれません。
経験した副反応には「めまい」「一カ月くらい腫れた」「顔の筋肉痛」が挙げられていました。いずれの調査でも美容鍼による副作用を経験する人は少ないのは確かですが、生理中の施術を希望する場合、副作用がゼロではない、という点は覚えておきたい点です。
最後に
基本的に美容鍼は生理中でも受けることができます。むしろ、鍼には生理中に伴う肌荒れや生理痛を和らげる効果があるといわれているため、活用を検討してみてください。しかし、体調に不安を感じることがあれば、鍼灸師と相談の上、施術をするかどうか慎重に決めるようおすすめします。
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