生理不順に鍼治療は効果あり? 生理不順の原因や対処法も紹介
2019.09.11

Contents
生理不順で悩んでいる方は意外と多くいます。前に生理が来たのはいつだったか忘れてしまうほどの不順であったり、逆に1か月に2回生理がきたりすると、何かの病気のサインなのではないかと不安になりますね。
一口に「生理不順」と言っても、その原因は多岐にわたり、また人それぞれです。そして、原因によっては鍼治療で不調の改善が期待できるケースもあります。今回は生理不順と鍼について、そして生理不順の原因や対処法についてもご紹介します。
月経(生理)のメカニズム
女性は生まれつき、卵子のもととなる「原始卵胞」約200万個を卵巣に抱えています。身体が成熟して赤ちゃんを産める体になると、一定のサイクルで妊娠の準備を繰り返すようになります。月経とは、妊娠に向けて赤ちゃんのベッドとして準備されていた子宮内膜が、必要なくなってはがれ落ちるときに起こる出血のことをいいます。
妊娠の準備
約1ヶ月の周期で、卵巣は卵胞ホルモン(エストロゲン)を作り、子宮内膜を厚くします。卵巣の中で成長した卵子が子宮へと続く卵管へ飛び出すことを排卵といいます。ここで卵子と精子が出会って受精卵になると、受精卵は卵管を通って子宮へ移動します。
このとき、受精卵を受け止めるベッドのような役割をするのが子宮内膜です。排卵後の子宮内膜はフカフカと厚くなり、栄養をしっかり受精卵に届けられるようにたくさんの血液を蓄えます。
月経(生理)
しかし、精子と卵子が出会わなければフカフカの子宮内膜は必要なくなります。そのため子宮内膜は、ある一定期間を過ぎると血液や卵子と一緒に剥がれ落ちます。固まった子宮内膜を壊すため、血液のかたまりを溶かす酵素が分泌され、酵素によって液体となった子宮内膜が体外に流れ出ていきます。これが月経(生理)です。
HARICCHIの独自アンケート:月経について・生理不順について
ストレスや生活環境などの影響によりホルモンのバランスが乱れていると、月経の際に不快な症状や生理不順などがおこります。HARICCHIでは月経について悩んでいることがあるか調査しました。
・生理痛が重い 30%
・頭痛など、生理痛以外で症状がある 39%
・イライラする 51%
・出血が多い 20%
・胸の張り 16%
・生理不順 20%
(ハリッチ独自アンケート・2022年5月実施・217名・複数回答)
一番多かったのは「イライラする」という回答で、アンケートを取った方の半数以上が月経時にいつもよりも過剰にストレスを感じていることがわかります。また、生理痛や頭痛など、痛みを伴う不快感を持つ方も3割以上いました。そして、約2割の方が生理不順に悩まされています。
月経は、繊細なホルモンバランスの上で成り立っているため、心や身体に少し問題を抱えているだけでも影響が出てしまう場合があります。
生理不順や経血量で困っている方の主なコメントは以下の通りです。人によってさまざまな症状があり悩みもそれぞれ違います。
・不順なのでいつ来るのかわからない
・周期が短くすぐくるのに7日間続きなかなか終わらないこと
・閉経が近いのもあって不順なのが面倒
・生理が長い(10日以上続くことも)
・回によって解決の量が異なるため、ナプキンの吸水量を都度気にする必要がある
・数ヶ月こない生理不順 便利だが周りからはなおせといわれたり、病気がこわい
・生理期間が長い
・出血量が多いというより、短時間での量が多い、漏れて下着や時にスカート等まで染みる
・加齢とともに生理周期が短くなってきていること
・生理周期が人より長いこと
・最近更年期でもう2ヶ月来ていません。このまま来ないのか、来るのかハッキリしないので困っています
・ストレス過多になると生理不順になる
・薬を飲まないと生理がこない、コントロールできるぶん楽でもあるが…
・そろそろ更年期で不規則。無くなってしまうのがさみしい。閉経後が不安
・出血が3週間続いている
・周期が定まらない
・とにかく量が多い
・突然一度に大量出血すること
生理周期や経血の量は個人差がありますが、毎回の生理周期が大幅に異なっていたり、明らかに量が多かったりする場合は、月経異常(生理不順)と考えて早めに対処したいですね。婦人科系の病気を防ぐためにも、生理不順の種類や原因、自分の場合はどのパターンに当てはまるのかよく調べましょう。
生理不順の種類
生理不順とは、生理と生理の間隔が長い、逆に頻繫に生理がきてしまう、生理の出血がいつまでも長く続く、または出血が少なく生理期間が極端に短いなど、生理周期や間隔が乱れる症状のことです。生活環境やストレスに左右されて生理周期が乱れた場合に早く気付けるように、自分の生理周期や長さは把握しておきたいですね。
正常な月経周期
健康的な生理周期は28日間と言われています。しかし生理周期には個人差があるため、25日〜38日周期くらいであれば、多少のばらつきがあっても心配はありません。また、生理期間中に出血が見られるのはおおむね3〜7日程度です。
稀発月経・・・生理周期が長い
生理周期が通常より長い(39日以上)ことを稀発月経と言います。徐々に長くなっていくこともあれば、急に生理が遅れることもあります。3か月以上期間が開く場合は無月経となり、そのまま閉経してしまう場合もありますので、婦人科を受診しましょう。
頻発月経・・・生理周期が短い
稀発月経と反対に、生理と生理の期間が短い(24日以内)ことを頻発月経と言います。周期が短いため、1カ月の間に2回生理が来ることもあります。ホルモンバランスが不安定な思春期に多く、卵子が充分成熟しておらず無排卵月経である可能性もあります。周期が早いと出血量も多くなり貧血を起こしやすくなります。
過長月経・・・経血の期間が長い
通常3〜7日の月経期間が8日以上続く状態を過長月経と言います。出血がダラダラと長く続きますが、出血の量は少ない場合が多いです。
過短月経・・・経血の期間が短い、量が少ない
過長月経と反対に、月経が2日以内で終わってしまうことを過短月経と呼びます。血液の量が少ないことも多いです。この場合は、ホルモンの分泌が弱く、卵巣が正常に働いていない場合があります。
過多月経・・・経血の量が多い
経血の量は個人差がありますが、ドロッとした大きめの塊が出る、多い日用のナプキンでも一時間もたない、などの場合は経血量が多いと言えます。生理の際には、体内で一度固まっていた血液が酵素の働きにより溶けることで排出されます。それが塊のまま出てしまうのは出血の量に対して酵素の量が足りていないと考えられるからです。
多少の塊が出ることはよくあるので気にしないで構いませんが、今までに比べて明らかに量が増えたと感じたら要注意。ホルモンの分泌異常や、「子宮筋腫」「子宮内膜症」の恐れがあります。
生理不順の人はどれくらいいるの?
では、生理不順の人はどのくらいいるのでしょうか?厚生労働省が調査した、働く女性の健康に関する態調査結果を見てみましょう。
出典:厚生労働省「働く女性の健康増進調査2018」
この表から見ると、生理に関する異常症状があった人は約半数とのことです。また、それに対して何もしていない人が圧倒的に多いことが伺えます。
生理不順になる原因と家庭でできる対処法
月経のサイクルは、卵巣から分泌される女性ホルモンによってコントロールされています。そのため女性ホルモンのバランスが乱れると生理不順につながります。
ホルモン調節を指示するのは脳にある「視床下部」です。そこから脳の「下垂体」に指令が伝わり、さらに各内分泌腺に指令が伝わり、ホルモンが分泌されます。女性ホルモンの場合は、下垂体から卵巣へ「女性ホルモンを作りなさい」と指示を出すことで分泌されます。
そのため、視床下部・脳下垂体・卵巣のどこかに問題が発生すると、ホルモンが正常に分泌されなくなるのです。
過度なダイエット・食生活の乱れ
急激なダイエットや、食生活の乱れによる急激な体重増加による生理不順の場合、月経の間隔が極端に開いてしまうことがあります。前回の生理から期間が開いていると感じ、また急激な体重の増減があった場合には、食生活の見直しや規則正しい生活への改善を試してみましょう。
ストレス・睡眠不足
女性ホルモンの分泌で大切な役割を担っている視床下部と脳下垂体は脳の一部で、ストレスの影響を非常に受けやすい器官です。そのため、精神的なストレスを受けると、うまく指令を出すことができなくなって生理不順を引き起こすことがあります。また、睡眠時間が足りていない場合にも、同様に女性ホルモンの分泌を妨げられます。リラックスできる環境を作り、睡眠時間をしっかり取るようにしましょう。
更年期
閉経の前後5年の期間を更年期と言います。更年期に差し掛かると閉経の時期が近づくため生理不順が起きるようになります。
日本の女性が閉経を迎える時期は平均して50〜51歳なので、40代後半から更年期に突入する人が多いです。しかし、当然個人差はあるので早ければ40代前半から更年期に入る人もいます。
婦人科系の病気
生理不順で怖いのが婦人科系の病気が隠れているかもしれないことです。若い方の場合は下手に放置しておくと妊娠することが難しい体になってしまうこともあるため、生理不順が続く場合は必ず産婦人科を受診するようにしましょう。
生理不順を引き起こす病気としては、無排卵月経・子宮筋腫・子宮内膜症・子宮内膜ポリープ・子宮頸がん・子宮内膜がんなどがあります。
慢性的な冷え
オフィスワークなどで冷房の効いた部屋に長時間いると、慢性的に体が冷えた状態になり、血流が悪くなります。血液が滞ることによって卵巣がうまく働くことができず、生理不順を引き起こすこともあります。生姜や根菜類、発酵食品などの身体を温める食べ物や、ストレッチ、適度な運動で血行を良くするなど、冷え性対策をしてみましょう。
運動のしすぎ
適度な運動は冷え性対策やストレス発散など生理周期を整えるためにも必要ですが、極端に激しい運動を続けることは生理不順、特に生理が止まってしまう原因になってしまいます。思春期の部活動でのストレスやエネルギー不足で生理が止まってしまうアスリートは多く、不妊につながってしまうケースも。 心当たりがある場合は運動を中止し、婦人科医にアドバイスを受けましょう。
太りすぎ(肥満)
肥満とは、「BMI:体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)」が25以上の事をいいます。肥満によって女性ホルモンが減ることはあまりないのですが、排卵しにくくなり、無月経や稀発月経になるケースがあります。
また、肥満で生理不順の方の中には多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や糖尿病を併発する場合もありますので、適度な運動や食事制限など生活改善に取り組むとともに、生理不順が続く場合には婦人科を受診し、医師の指示を仰ぎましょう。
鍼治療で生理不順は改善されるのか
生理不順が続く時は婦人系の病気が疑われるため、まずは婦人科を受診することをおすすめします。しかし、それ以外が原因で生理不順になっていた場合はどうすればよいのでしょうか。まずは食生活や適度な運動などの生活改善、それでも改善されない場合はホルモン剤などの薬で生理を促す方法もあります。
しかし、薬は副作用が出る場合もありますし、薬に頼るのは怖いという方もいることでしょう。そんな方におすすめなのは、東洋医学の一つである鍼治療です。鍼治療には血行を良くし、副交感神経の働きを活性化させてリラックスした状態を作り出す効果が期待できます。慢性的な冷えを感じている方には特におすすめです。
また、生理不順にはホルモンバランスを整える事が重要です。鍼灸治療による刺激が自律神経に働きかけて、ホルモンの分泌を促しバランスを整えます。ホルモンのバランスが良くなると生理不順だけでなく、さまざまな良い影響があると言われています。
WHO(世界保健機関)でも、生理不順に対する鍼治療の有効性は認められています。日常のストレスによる生理不順の場合には、東洋医学では「疏肝解鬱(肝を整えて鬱の状態を解く)」という治療法を用います。全身の血流を充満させる「肝」の機能を整えることで心身に溜まったストレスを解消し、ストレスが原因で起こる生理不順の改善の効果が期待ができると言われています。
生活改善をしてみたけれども生理不順が解消されなかった、または生活改善は難しいという方は、鍼治療を試してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】生理不順は原因別に対処しましょう
最後に、鍼治療で生理不順の改善が期待できる代表的なケースをご紹介します。
・慢性的な冷えによる生理不順
・ストレスや睡眠不足による生理不順
生理不順は、放置しておくと妊娠できなくなる可能性もあるため、早めに婦人科を受診することが推奨されます。女性にとって月経は心身のバロメーターともいわれています。診療を受けた上で異常がない場合は、慢性的な冷え性、ストレスや睡眠不足などが疑われます。食生活や睡眠、適度な運動など、生活スタイルを見直してみましょう。
<<< ブログTOPに戻る